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Vol.6 母からの贈り物、二十歳のプラチナ。

「はい、カナコ。二十歳の記念」

母から突然渡された、白い箱。
ドキドキ、ドキドキしながら開けました。

手にした、ハートのプラチナ・ネックレス。
「輝きが色褪せないから、長く使えるよ」そう、嬉しそうに言った母。
いつも明るい母。私想いの母。人が喜ぶ顔が好きな母。
夏休みの工作を、毎年張りきって手伝ってくれた母―。
二十年間、母が注いでくれた愛が、目の前に溢れてくる気がしました。

大学生だった、二十歳の私。本音を言うと、
「母と少し離れたい」という思春期の葛藤の中にいました。
もう自分は子供じゃない。親に干渉されずに、自分のことは自分で決めたい。
でも、いざひとり暮らしをしてみると―。
家事の大変さや、ふとした瞬間の寂しさを知って、
母のありがたみを実感していたのも、本当でした。

二十歳って、まだまだ子供。だけど、周りは大人として接しはじめる。
迷いながら、不安を乗り越えながら、新しい世界へ進む一瞬。
だから、あんなにも輝かしい。母が贈ってくれたあのプラチナは、
「二十歳という輝く時を大切にしてね」という、母からのメッセージだったのかな。

「ありがとう」
気がつくと、母に素直に感謝を伝えていた私。
プラチナの輝きが、葛藤を解きほぐしてくれたのかもしれません。
今では、仲のいい女友達のような母。
2人で遊んだり、旅行に行ったり、ときには恋愛の話もしたり。

大人になった私は、大好きなフラワーアレンジメントの仕事をしているけれど、
それも、人を喜ばせたり、なにかつくるのが好きなお母さんに
憧れたからかなぁ、と思ってるんだよ。

(東京都 32歳 女性)

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